算定基礎届の対象者と提出時期|会社側の確認手順
著者・監修 ・ YDAIコンサルティング株式会社 代表
目次
算定基礎届の準備では、7月1日に使用している被保険者を起点に対象者を確認し、4月・5月・6月に支払った報酬を集めます。厚生年金保険法施行規則第18条は7月10日までの届出を定めています。日本年金機構の「定時決定(算定基礎届)」も対象と提出時期を案内しています(いずれも確認日2026-10-21)。
「給与データはそろっているのに、届出に入れる人が合わない」という戸惑いは、賃金台帳の月次集計と7月1日時点の資格情報を一緒に見ていないと起こります。月額変更届の予定がある従業員も、同じ扱いで機械的に並べられません。
本記事では、対象者の抽出、報酬資料の集め方、提出担当へ渡す直前の点検を会社の作業順に説明します。入退社を含む月次の届出は給与計算と社会保険の届出で確認できます。
本記事で分かること
- 7月1日を基準にした対象者の確認
- 4月から6月の報酬資料と差異の点検
- 7月10日までの社内工程と提出前の確認
結論:算定基礎届の会社側の準備(早見表)
算定基礎届の準備とは、7月1日の資格情報と春の報酬記録を照合して定時決定の届出資料を整える作業です。提出期限は毎年7月10日です。まず月次の資格取得・喪失の確認を済ませ、対象者と支払記録の版をそろえます。
| 確認するもの | 起点となる資料 | 会社で行う照合 | 根拠・時点 |
|---|---|---|---|
| 対象者 | 7月1日の資格情報 | 在籍・資格取得日・喪失日 | 厚生年金保険法施行規則第18条、確認日2026-10-21 |
| 報酬 | 4月から6月の支払記録 | 月別の支払基礎日数と額 | 日本年金機構「定時決定」、確認日2026-10-21 |
| 別届出 | 月額変更届の予定 | 同じ人の届出区分 | 日本年金機構「定時決定」、確認日2026-10-21 |
| 提出 | 算定基礎届 | 7月10日までの提出日 | 厚生年金保険法施行規則第18条、確認日2026-10-21 |
期限だけを先に押さえても、被保険者の入退社や随時改定の予定が抜けると対象者の表が完成しません。日本年金機構の案内には、7月改定の月額変更届を提出する人や8月・9月に随時改定を予定する人などの扱いが示されています。会社側は個別の事情を確認し、提出担当へそのまま渡せる一覧を作ります。
7月1日時点の対象者を抽出する
対象者の基準日は給与締め日ではなく7月1日です。日本年金機構の「定時決定」は、この日に使用する被保険者と70歳以上被用者を対象として説明しています(確認日2026-10-21)。厚生年金保険法施行規則第18条の届出規定と合わせて、まず資格情報を確かめます。
在籍と被保険者資格の確認
在籍一覧と社会保険の資格取得・喪失の記録を同じ7月1日付で並べます。人事台帳に名前が載っていても、社会保険上の資格の状況を確認せずに算定基礎届の対象者とはできません。反対に、給与計算の締め日が前月末であっても7月1日に資格を持つ人がいるため、賃金台帳の対象者だけを抜き出すと漏れることがあります。氏名や社員番号をキーに、届出済みの資格情報と人事側の異動日を照合します。
日本年金機構は、6月1日以降に資格取得した人や6月30日以前に退職した人など、届出不要となる扱いも案内しています(確認日2026-10-21)。この条件を適用するときは日付の根拠を個別に記録します。退職予定のまま処理した人が実際には在籍していた場合など、予定と確定の違いを見直せるようにします。年次の一覧には確認日と確認担当を残し、後から人事と給与のどちらの資料を使ったか分かるようにします。

別届出との重なり
定時決定は年1回の報酬確認で、固定的賃金の変更を受けた随時改定とは別の制度です。日本年金機構の「定時決定」は、7月改定の月額変更届を提出する人、8月または9月に随時改定が予定される人について、算定基礎届の扱いを別に案内しています(確認日2026-10-21)。全員の4月から6月の報酬を同じ表に機械的に入れる前に、給与改定の予定と届出担当の判断を照合します。
月額変更届の予定者については、改定を決めた日、変更後の給与の支払月、提出予定を一覧に残します。随時改定の予定が後に成立しない場合の扱いも、日本年金機構の案内を確認しておきます。定時決定と随時改定を区別せず二重に提出することも、予定者を無条件に除いてしまうことも避けられます。月額変更届の起点は給与改定の月次確認で追うと整理しやすくなります。

| 対象区分 | 会社が見る日付 | 突き合わせる届出 | 次の確認 |
|---|---|---|---|
| 7月1日の被保険者 | 資格取得日と在籍日 | 算定基礎届 | 報酬月別の資料 |
| 6月1日以降の取得者 | 資格取得日 | 資格取得届 | 日本年金機構の対象外条件 |
| 随時改定の予定者 | 改定日と予定月 | 月額変更届 | 予定が成立したか |
提出に使う報酬情報を集める
報酬は支払月ごとにまとめてから対象者へ結び付けると差異を見つけやすくなります。日本年金機構は定時決定の説明で、4月・5月・6月の報酬と支払基礎日数を示しています(確認日2026-10-21)。年次の届出資料を作る前に、給与明細と賃金台帳の月別値を照合します。
支払記録の集約
4月、5月、6月に実際に支払った報酬を月ごとに抽出します。対象者一覧と賃金台帳の社員番号を合わせ、月別の支払額と支払基礎日数を同じ行に置きます。締め日と支払日が異なる会社では、勤務した月と支払った月を混ぜないことが重要です。日本年金機構の「定時決定」は、原則として4月から6月の報酬を使って標準報酬月額を決めると説明しています(確認日2026-10-21)。
途中入社、休職、勤務日数の少ない月がある従業員は、月別に理由を残します。支払額だけを年次表へ転記すると、対象月に入れるべきかの確認ができません。給与明細、賃金台帳、勤怠原票で支払基礎日数と支給内容を照合し、差があれば最初の記録まで戻ります。本人への支払結果が確定した月と、会社が年次表を作った日を区別して保存しておくと、訂正が生じたときに追跡できます。
対象者一覧を確定した後は、報酬月額の集計に使った給与データの版を記録します。締め後の給与訂正が入る会社では、訂正前の一覧で届書を作らないよう、担当者間の受渡日を分けて管理します。届出後に照会があったときも、どの原票から報酬を集計したか追えるようにします。

差異がある場合の確認
賃金台帳と算定基礎届の下書きが一致しないときは、月、対象者、報酬項目、支払基礎日数のどこで差が出たかを絞ります。給与の再計算や遡及支払を行った場合には、当初の給与明細と訂正後の記録を両方見ます。日本年金機構の定時決定の案内には、通常の被保険者、短時間就労者、特定適用事業所の短時間労働者で支払基礎日数の扱いが異なる説明があります(確認日2026-10-21)。区分を確認せず全員に一つの判断を当てないようにします。
差異を見つけた人がそのまま届出値を変更するのではなく、給与の訂正が確定したかを給与担当へ確認します。届出担当には、差異の理由、訂正の対象月、最終的に採用した支払記録を伝えます。未確定の給与を期限直前に届け出る状況を避けるには、社内で報酬資料の提出日を7月10日より前に置くことが有効です。提出後に訂正が必要になった場合の連絡先も記録しておきます。

| 確認する差 | 比べる記録 | 最初の担当 | 届出担当へ渡す結果 |
|---|---|---|---|
| 対象者の差 | 資格記録・在籍一覧 | 人事 | 7月1日の資格状況 |
| 報酬の差 | 賃金台帳・給与明細 | 給与 | 確定した月別額 |
| 日数の差 | 勤怠原票・支払記録 | 給与 | 支払基礎日数の確認結果 |
提出担当へ渡す直前に点検する
会社内の資料確定日を法定の提出日より前に置くと、対象者や報酬の差を直す時間を確保できます。厚生年金保険法施行規則第18条は毎年7月10日までの提出を定めています(確認日2026-10-21)。日本年金機構の案内は提出先と方法も示しています。
締切逆算の社内工程
7月10日から逆算し、人事の資格一覧の確定、給与の4月から6月の報酬集計、届出担当による照合、提出承認を順に置きます。会社ごとの給与締め日が異なっても、法令の提出日を後ろへ動かすことはできません。日本年金機構の「定時決定」は提出先を事務センターまたは管轄の年金事務所と案内しています(確認日2026-10-21)。提出方法を選んだうえで、社内承認に必要な時間を予定表へ入れます。
担当者の交代や外部委託がある場合は、誰が対象者を確定し、誰が報酬を集計し、誰が提出結果を受け取るかを具体的に決めます。算定基礎届は年1回の作業なので、前年の担当者だけに手順が残りやすい業務です。提出したファイル名、対象者数、提出日、受理結果を年次の記録として残せば、翌年の準備に使えます。提出期限を守るだけでなく、内容を確認した経路が後から説明できる形にします。

電子申請対象の確認範囲
提出方法には電子申請などが案内されていますが、会社が選べる方法と電子申請義務の有無は同じ問いではありません。健康保険法施行規則第25条第3項などは特定法人の事業所について電子情報処理組織による届出を定めています(確認日2026-10-21)。自社がその区分に該当するかを提出担当が確認し、適用される方法で準備します。ここで資本金額だけを一行で判断するのではなく、該当法人の区分を法令と照合します。
電子申請を利用する場合も、資格一覧と報酬資料の確認は省けません。提出用データを作る担当と送信を承認する担当が異なるなら、送信前の版、送信日時、受理結果を結び付けます。外部に提出を委ねる場合は、委託契約の範囲と提出主体を確認します。個人別の報酬情報を扱うため、資料を渡す先と保管方法も社内の手順に入れておきます。
| 提出前の工程 | 完了の証拠 | 確認担当 | 期限との関係 |
|---|---|---|---|
| 対象者確定 | 7月1日の資格一覧 | 人事 | 集計の起点 |
| 報酬確定 | 4月から6月の月別記録 | 給与 | 届出値の根拠 |
| 提出承認 | 算定基礎届の最終版 | 届出担当 | 7月10日まで |
まとめ
算定基礎届は、7月1日の資格を起点に対象者を確認し、4月から6月の報酬を月別に集めて7月10日までに提出します。月額変更届の予定や途中入退社を別に拾い、対象者数と報酬額の差異を提出前に解消します。社内の資料確定日と提出日を分け、受理結果まで記録します。
月次の入退社や給与改定は社会保険の届出、適用対象の広がりは企業規模要件の時期、本人の加入条件は賃金要件撤廃後の判定で確認できます。
よくある質問
- Q. 算定基礎届の提出時期はいつですか
- 毎年7月10日までです。厚生年金保険法施行規則第18条は、7月1日に現に使用する被保険者について同月10日までの届出を定めています(確認日2026-10-21)。日本年金機構の「定時決定(算定基礎届)」も同じ提出時期を示しています。会社はその前に資格一覧と4月から6月の報酬資料を確定し、提出担当が照合できる時間を確保します。
- Q. 算定基礎届の対象者を誰が確認しますか
- 会社の人事・総務が7月1日の資格情報を確認し、給与担当と届出担当が報酬資料との一致を確かめます。法令は事業主の届出を定めており、社内の担当分担は会社が決める事項です(厚生年金保険法施行規則第18条、確認日2026-10-21)。外部へ作成や提出を依頼する場合も、会社が提供する資格情報と契約上の担当範囲を確認します。
- Q. 算定基礎届と月額変更届は同じ届出ですか
- 同じ届出ではありません。算定基礎届は毎年の定時決定に使い、月額変更届は報酬月額の随時改定に関わります。厚生年金保険法施行規則第18条と第19条に別々の届出が置かれています(確認日2026-10-21)。日本年金機構の「定時決定」は随時改定の予定者について別の扱いを案内しているため、会社は給与改定の予定を対象者一覧と照合します。
出典
本記事の出典は に内容を確認しています。
- 1.定時決定(算定基礎届)|日本年金機構(nenkin.go.jp)
- 2.厚生年金保険法施行規則|e-Gov法令API(laws.e-gov.go.jp)